初めての香港旅行であれば、「香港の治安は悪いの?」と気になるかもしれません。女性の一人旅なら、なおさらに。
結論からいえば、香港の治安は日本よりも良いです。しかし、日本人は自己の危機管理能力が低くターゲットになりやすい、といわれています。
photo by Peter Thoeny – Quality HDR Photography
香港の犯罪率
2014年の香港の犯罪率(人口10万人あたりの発生件数)は、936件。犯罪率が953件の日本よりも香港の犯罪率は低いのです。
参考:Crime Statistics Comparison | Hong Kong Police Force
また、イギリスのレガタム研究所が毎年発表している「レガタム繁栄指数」の2015年版で、世界142カ国中、香港は治安の良さで1位(日本は19位)と評価されています。
出典:The 2015 Legatum Prosperity Index – Explore the data
この結果だけを見ても、他国と比べて香港は安全な街といえます。
香港の治安
年間約2300万人以上の旅行客が訪れる香港。その多くが訪れる繁華街は、「眠らない街」の代名詞そのままに、昼夜問わず人通りが多く、人目につく犯罪が起きにくいのが特徴です。
気候も一年を通して温暖なため、昼間は現地の女性も露出の多い服装をしています。旅行者も服装にそれほど気をつける必要もありません。
ただ、香港は大通りから一歩入ると街灯がない細い路地が多いので、夜間一人で出歩く際には大通りを通るようにした方が安心です。
また、治安が良い香港であっても、危機管理能力の低い日本人は悪い人に狙われやすいです。香港で日本人が巻き込まれる犯罪には、どんなケースがあるのか?
スリ・置き引き
photo by See-ming Lee
旅行者を狙ったスリや置き引きは、最も多い犯罪のひとつ。女人街をはじめとする露店街、尖沙咀などの繁華街では、ぶつかり際にパスポート、財布、スマホなどの貴重品を盗まれるケースが多発しています。
地下鉄
とくに多いのが地下鉄で、混雑しているときや、乗り降りするとき。スーツケースや大きな荷物に気を取られている間に、財布やスマホを盗まれるというケースがあります。
貴重品は、ズボンやジャケットのポケットには入れず、チャック付きのカバンにしまいましょう。また、バックパックなどは常に前に持ち、目が届くようにしましょう。
レストラン
香港のレストランでは、相席や隣のテーブルとの距離が近い場合が多いです。手荷物は膝の上や目の届くところに置き、テーブルの上に貴重品は置かないようにしましょう。
空港
空港での置き引きも多発しています。スーツケースを引き取る際、両替や買い物、トイレに入る際など、カートに乗せた手荷物から少し目を離さないようにしましょう。
タクシーでのトラブル
photo by Kevin Poh
旅行客が一番被害に遭いやすいのが「悪徳タクシー」でしょう。香港のタクシーには赤色、緑色、青色の3種類があります。それぞれのタクシーは、走行できるエリアが決まっています。
香港のタクシーの種類 | 走行可能エリア |
---|---|
赤色 | ランタオ島の一部を除く香港中 |
緑色 | 新界エリア内 |
青色 | ランタオ島内 |
香港のタクシーは、日本と同じくメーター制。一番多い赤色タクシーの場合の初乗り料金は、2キロまで22ドル。その後は200メートル毎、または待ち時間が1分を経過するごとに1.6ドルです。ほかに、スーツケースやベビーカーなど追加料金(約5ドル/個)が発生したりします。
タクシーの運転手から強盗や拉致にあったり、暴力を振るわれたりなどの心配はありません。
しかし、タクシー運転手の中には、悪徳な運転手がいるのも事実です。不必要な追加料金請求やメーターが壊れているなどと言って、倍ほどの金額を請求することがあります。
クロスハーバー
香港島から九龍半島、九龍半島からランタオ島のように、海を超えての利用「クロスハーバー」の際は注意が必要です。
「クロスハーバー」に使用するトンネルの通行料は乗客が支払うことになっています。しかし、正規のタクシー乗り場以外でタクシーを拾い、「クロスハーバー」のトンネルを通ると、トンネル料金を「往復分」請求されることがあります。
タクシーでのトラブル体験談
これは私が実際に経験したことです。尖沙咀からエアポートエクスプレスの九龍駅までタクシーに乗る際、スーツケースを乗せる追加料金を実際の個数以上請求されそうになったことがありました。
また、「エアポートエクスプレスに乗るより直接空港まで行った方が早い」と、強引に空港まで行こうとしたことがありました。
タクシーを利用する際には、ホテルの人に相場を聞いておいたり、出発前におおよその金額を聞いておいたりすることでトラブルを防ぐことができます。トラブルがあった際は、助手席の前にはタクシー運転手の名前と車体番号が表示されていますので、メモをして問い合わせしましょう。
治安の悪い地域
香港で、きわだって治安が悪い地域はありません。しかし、狭い路地に数多くの店舗がひしめく露店街など、人が多く集まるエリアではスリが多発しています。
また、露店での値段交渉も気をつけるポイントのひとつです。本来の値段以上の金額を提示し、そこから値引きをしたように見せかけて売るというような手口もあります。いくつかの露店で同じような商品を扱っていますので、相場を見極めるようにしましょう。
尖沙咀などの繁華街では、路上で声をかけ、ブランド品のコピー商品を売るというケースがあります。親近感が沸くよう日本語で話しかけてくるケースもありますので注意です。
反日感情
photo by TsangMING!
1997年に中国に返還され、中国の一部である香港の人々の反日感情が気になるかもしれません。実際、香港は、第二次世界大戦中の1941年から1945年の3年8か月間、日本の占領下にあった時代がありました。
しかし、中国に返還されて以降も、香港の人々は「香港人」としてのアイデンティティを大切にしています。155年間という長い期間英国の統治下にあり、西洋的合理主義が根付く香港では、「反日感情はほぼない」といえます。
参考:香港人「中国人は嫌いだけど、良い収入源。日本人は好きだけど、日本政府は嫌い」ー exciteニュース
デモ
photo by Studio Incendo
2014年に香港反政府デモが起き、大きなニュースになりました。デモは香港の中心である中環、政府機関の多い金鐘などの限られたエリアで行われていたため、他のエリアではとくに支障はありませんでした。また、デモの目的がはっきりとしており、周りの人に危害が加わるようなことはありませんでした。
2014年11月以降、反政府デモは収束しており、気にする必要はないといえます。毎年7月1日の香港返還記念日には、デモが行われることがありますが、デモの参加者が暴徒化するなどの危険性は少ないです。
交通
photo by Tim Wang
香港は、狭い土地に多くの人が暮らしている人口過密都市です。渋滞は日常茶飯事で、 車間距離も近く、運転のスピードも速い。また、信号のないラウンドアバウト(環状交差点)が多数あります。道路を横断するときは、車の進入方向をしっかりと確認しましょう。
ちなみに香港には、安全と効率性が高い公共交通機関が充実しています。トラム、バス、地下鉄(MTR)、フェリーと早朝から深夜まで便数も多く、女性が一人で利用しても安全です。
ナイトスポット
photo by travelwayoflife
香港の有名なナイトスポットは、中環の「蘭桂坊(ランカイフォン)」、尖沙咀の「諾士佛台(ナッツフォードテラス)」です。西洋人が多いエリアとして知られています。
また、尖沙咀や湾仔にはローカルに人気のナイトクラブが多くあり、翌朝まで賑わいが続いています。
バーやクラブ内でのスリ、席を外した隙に飲み物にドラッグを入れられる、一緒に飲もうと誘われ、酔っ払った隙に金銭を盗られるというようなケースが多く発生しています。
お酒が入ると気が緩みがちですが、貴重品は身に着けて離さない、見知らぬ人に気を許さないなどの基本的なことが大切です。
まとめ
香港の治安は、世界一良いと評価されています。発展途上国のような、治安が悪い国に行く不安を持つ必要はありません。
しかし、どの国でもスリや置き引きなどは少なからずあります。日本人が被害にあうケースは、安全対策を取っていれば防げるものがほとんどです。
香港旅行中は外国にいる自覚を持ち、その国のマナーや風習に敬意を持った行動を心がけて、「自分の身は自分で守る」の意識は忘れないようにしましょう。
コメント